1.日時

  2016年8月23日(火)13:00~14:00

2.鼎談者

  横浜市港湾局 伊東 慎介 局長

  横浜川崎国際港湾株式会社(YKIP) 諸岡 正道 社長

  SITC JAPAN株式会社 呂 開献 社長

  この度、SITCが本格始動したWhite Express Line(WEL)を開設いたしました。このサービスは横浜港をハブとし、内航フィーダーを利用し、苫小牧/八戸/仙台サービスを提供いたします。今サービスは、SITCが横浜川崎国際港湾(YKIP)が支援事業を活用して、北海道・東北の貨物を横浜に集積し、荷主様の利便性を向上させたサービスとなります。

  この新たな取り組みについて、横浜川崎国際港湾㈱にて、伊東慎介・横浜市港湾局長、諸岡正道YKIP社長、呂開献SITC JAPAN社長の3氏で鼎談を行いました。

3.要旨

~SITCと横浜国際港湾・横浜港との連携にてWEL開設~

  (進行)今回のWhite Express Line開設にあたって一言

  社長(呂)まずは、感謝。ありがとうとお伝えしたい。当社は設立から20周年が経過し、アジア専業の船社として日中サービスでは最大のシェアを誇っている。日本においては2つのエンジンというテーマを掲げており、一つは「JAPAN主導のアジア展開」、もう一つは「地方港戦略」である。本サービスの構想自体は数年前からあったが、今回YKIPから強力なインセンティブを受けることで、大きな後押しをいただいた。お蔭様で多くの引き合いを頂戴しているが、今後さらにサービスを拡充したいと考えている。

  (進行)今回の支援の適用にあたって

  (諸岡社長)当社は本年1月に設立され、3月には港湾運営会社の指定を受け、本格的に集貨支援制度をスタートさせた。当社の目的は、基幹航路の維持・拡大であり、ハード面での整備が非常に重要な課題とはなっているが、実際我が国から北米・欧州と輸出入される貨物は一部でしかない。大多数は中国・東南アジア諸国との輸出入貨物であり、こうした貨物を集貨することが極めて重要だと考えている。こうした中で、SITC JAPANは地方港から釜山港へ流出している貨物を横浜や川崎経由でSITCの豊富なネットワークに接続していただいた。

  (進行)横浜港として今回の取組については

  (伊東局長)戦略港湾の指定を受け、今年で7年が経過した。これまでも横浜港単独でインセンティブは実施してきたが、YKIPの設立により国の支援を受けることができるようになった。従来よりはるかに大きな規模。金額面や実施内容も含めて拡大できたことは大きなことだと考えている。横浜港だけでは困難だった。今回のSITC JAPANの取り組みも含めて、多くの船会社や荷主企業とYKIPが連携して取扱貨物量の増加につなげていただければ大変ありがたいことだと考えている。

~WELは北日本の新たな内航利用サービスを展開 農水産物がターゲット~

  (進行)WELの概要について教えてください。

  (呂社長)Whiteは白。北日本という寒い地域とのサービスということで、イメージした。さらに、同エリアの貨物の特徴であるリーファーもイメージしている。北日本からの農水産品は重要なターゲットであり、安全で品質も高い日本からの農水産品は現地でも高い人気を得ている。例えばリンゴは台湾で極めて高い需要を持っており、こうした貨物を集荷することは我々にとっても大きな課題。その他にも、北海道は釧路や函館といったエリアも注目している。

  また、荷主様へ安定したサービスの提供が非常に重要であると考えている。内航フィーダー会社との協調し、専用船的に利用できる航路の構築をおこなった。これにより、定曜日サービスを徹底し、海外他港トランシップに負けない体制を構築している。

  (諸岡社長)北日本は金属系の部品メーカーも集中しているエリアでもある。集貨にあたっては、内航フィーダーが安定したフリクエンシーでサービスを提供することも非常に重要だろう。

  (伊東局長)阪神港は瀬戸内の貨物を内航フィーダーで神戸に集約してきており、具体的に取扱量の増加という結果につながっている。横浜港は北海道や東北といった、まさに今回SITC JAPANがターゲットとしたエリアからの集荷が重要であり、横浜港は地理的にも太平洋側の各港にとってのゲートウェーになると考えている。内航網をいかにスムーズに展開できるかという意味で、横浜港も今後内航優先バースをはじめとしたハード面での展開も検討していく。

~今後の営業展開に関して~

  (呂社長) 中国から東南アジアにかけてのサービスエリアの広さはSITCの強みですから、アジア域内で横浜を経由したサービスポイント数は海外のハブ港経由にも負けません。最近増えているのが東南アジアのローカル港、中国長江流域等の内陸部からの輸入貨物で、SITCのネットワークを利用した、ローカルtoローカルのサービスも強みとなるはずです。」

  (諸岡社長)「今回の北日本サービスの開始にあたっては、SITC JAPANをはじめ、内航船社や港運事業者等の多くの方々が、横浜港への集貨に対してご理解をいただき、ご協力いただいたことに、大変感謝しています。7月にはSITCの上海本社も訪問し、YKIPのインセンティブの紹介を含めて、意見交換をさせて頂きました」

 

  (呂社長)「YKIP、横浜市港湾局の方々には、ハード・ソフト両面で協力を頂き、こちらこそ本当に感謝しています。近々、さらに東北・太平洋側の寄港地を増やして、サービス強化を図っていくつもりです。リオ五輪の4×100mリレーで日本チームが銀メダルを取りました。あれは走力だけでなくバトンリレーの巧みさなどがあってのこと。内航と外航、横浜港とSITCもそうなりましょう」